間ヒロの週末丁寧連載

ズボラ連載という一言矛盾を脱し、週一の丁寧を目指しています

階段を選ぶ日

庭から取って生けておいた金木犀が、3日ですっかりしなびてしまった。それでも、鼻を近づけるとまだ良い匂いがする。流石は季節のアイコンである。

 

久しぶりにぶらぶらとウィンドウショッピングをしていたら、とってもかわいいハンドメイドのイヤリングを見つけて、ついつい買ってしまった。アクセサリーは一期一会だからと言ってこんな風に買ってしまうことが多く、耳がなんこあっても足りないくらいなのに、実際は寂しい耳元で街を歩いていることが多い。悲しい性かな。

 

いつもはエスカレーターに乗ってせかせかと歩く駅で、ふと階段を選んでみたら、視界に映る人口密度がびっくりするくらい低かった。階段を選ぶ人はみんなあまり急いでいないから、ここだけ時間がゆっくり流れている。

上り切っても全くきつくない段数だったので、何年もこれを避けていた私は少し拍子抜けした。この階段は地下から地上に出る階段で、上が見えなくなっているのが良くない。白一色なのも問題で、膨張色だし、のっぺりとしてどこか圧迫感があるのだ。

 

妙にゆったりした気分で歩いていたからか、すっかり遅くなってしまった。最寄りのスーパーでボーロを買った。昔から大好きなのだが、味を忘れたころに食べると、新鮮さと懐かしさが加点されてさらにおいしい。踊りつつ帰る。