見てこれ!
鳥レバーーー!!
レバー、初めて買ったのだが、下処理が分からず、とりあえず血を洗い流してから熱湯にぶち込んだ。ら、ものすごいアクが出たので、何かしらの栄養が流れ出ている気がする…と神妙になって早々に火を止めた。
赤ワインで煮るつもりなので、下処理が適当でも臭みとかは心配なさそう。モーマンタイモーマンタイ。
ところで、レバーをふたつに切ります、とレシピにあったのだが、わたしの手元には明らかにレシピの写真には載っていない部位があった。
これ食べられるやつ?と疑問に思ったのだが、食べられないやつがパック詰めされてグラム数にカウントされていたらほとんど詐欺なので、たぶん食べれるやつだと逆説的に判断した。
結果的に、その部位がめちゃくちゃおいしかった。なんだろうこれ〜!と目を輝かせながら食べたが、すこぶるバカっぽい図であったと推察される。自分で買ったし、作ったし、食べてるのに、ニッコニコで「なんだろうこれ〜!」
……今宵も、馬鹿な自分に乾杯。チンッ
今になってやっと、あれが一体なんだったのか調べたのだが、なんのことはない、ハツだった。
プリッとしてコリっとして、焼き鳥で一番好きな部位はハツ!と公言しているのに、全くそのパターン認識ができていなかったようだ。学習前のAI。舌まで馬鹿であったとは、救いようもない。
この置き方はけっこう生々しい。
鶏さんは、心臓と肝臓がこんなに密に繋がってるのね。
こんなところまで食べてやろうと考えるのは、人間の卑しいところであり、そうしてまた、美しいところである。
焼き鳥ではハツの引き締まった食感が好きなのだが、中に空洞のある、まるまるのハツは、その唯一無二の形状によって食感の魅力が増していた。階段上ちゃったな。
写真の通りハツ:レバーの体積比は1:4くらいなので、ハツばっか食わせろよ!と脳内ヴァイキングが船を荒らしまくっていた。彼らにはブドウ酒を与えなければならない。
前述のように、味付けにはブドウ酒、つまりワインを用いたのだが、安酒でも結構ないい香りがして、アルコールの僕である同居人がクンカクンカと近寄ってきた。赤ワインだよ、と言ったら、目をギラギラさせていた。あるいは彼女もヴァイキングなのかもしれない。
この部屋の解約後、彼女とはどういう関係になるのだろう、とふと思う。
同居している人とかバイト先の人とか、「生活」に近い人にはSNSを知られたくないのでフォローしていないのだが、生活からも日常からも遠くなったら、その論理は通らなくなる。といって今さら「友人ではない」彼女にSNSを聞くのも不自然だ。彼女は「同居人」以外の言葉では表現できない。ただ出て行く時に鍵を閉めてあげ、ただいまとおかえりを言い、リビングで一緒に衣替えをし、たまにビザをとり、鍋をし、帰りが遅ければ心配する。それだけだ。全部、部屋を出たらする術も必要もないことになる。今日で引っ越しなの、ハイ、サヨナラ、になるのだろうか。
ふふ。へんなの、と笑った。わたしの生活を家族くらいに知っているのに、部屋を出たら、きっと何の接点もないのだ。新年の挨拶くらいはしたほうがいいのかもしれない。だけどそれも2年もすれば飽きるだろう。実家に長年帰らなくて実家と疎遠になるひとに似ているような気がした。どうしたって、人は地で繋がっているのだ。鎌倉の末期から、私たちの祖先はそうであった。
レバーとハツの話をしていたのに、気を抜いたら地縁の話をしてしまっていた。気を確かにしないと、核家族について話し出しそうな雰囲気がある。おやすみなさい。強制入眠。