間ヒロの週末丁寧連載

ズボラ連載という一言矛盾を脱し、週一の丁寧を目指しています

御堂筋を走った

仕事の帰り道、御堂筋を走った。

そうした方が速いし、運動不足の解消になると思ったからだ。

でも走り出して分かったのだが、御堂筋を走っている人を私は見たことがない。今まで、一度も。

その真下に電車が通っているのだから、急ぐのなら乗ればいいのだ。

それに、仕事で疲れているうえに、仕事着のままで運動不足を解消してやろうなどと考える不届きな社会人はいないらしい。

時間に追われるはずの訪日客ですら、サングラスの顔をしかめながらもゆったりとこの蒸し暑さを楽しんでいる。

 

しかし残念ながら、私は大学生である。

 

友人とイヤホンで電話をしながら、御堂筋を走った。

そして、目的の難波の駅までつながっているかなと、そんなわけないのに、心斎橋駅で地下に潜った。いま考えれば、そんなわけなさすぎる。グリコの下にトンネルがあるとでも思ったのだろうか。

当たり前に、東西にしか伸びない地下道だった。

すぐにもう一度地上に出た。

そうしたら、迷った。

 

変なインターバルをはさんで、私の方向感覚は全くの無になった。

どの道から来たのか分からない。四辻になっており、後ろの信号だったのか、左だったのか、対角線上のものだったのか分からない。さっきまで向かって左の道路を走っていたはずなのに、いまは右だ。地下で自分がどういう動きをしたか分からない。

逆に言えば、ただの四辻である。

不本意ながら、Googleマップを見た。マップの方でも、こんな使われ方にはうんざりしていることだろう。難波、この道、まっすぐ。方向だけ薄目で確認して、せめてもの抵抗ですぐに閉じた。

 

いまや、走っていた分の時間的なアドバンテージは完全に失われた。

私は歩いた。

電車は5分以上、出なかった。